7月13日金曜日|||-_||| 百物語|||-_|||本スレ
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43 :影虎 ◆oLBUa5ffU2 :2007/07/13(金) 21:08:36 ID:hnVGtZisO
今まで聞いた怖い話で、一番印象に残っているのが「トイレの花子さん」だ。
女子トイレの左から三番目のドアを三回ノックする。
「はーなこさん、あそびましょー」
と声をかけると、
「はぁーい」
と返事が来る、アレ。
私は一度だけ、花子さんに遭遇した事がある。
小学校一年生の頃。
誰も周りにいなくて、しんとしていたので多分授業中だったと思う。
私は左から二番目のトイレにいた。
用を足していると、三番目のトイレから声がした。
「ねぇ、あなた何組?私のお友達になってくれない?」
私は答えた。「うん、いいよ。私は一組。あなたは?」
「私三組。お名前は?」
「佐藤○○だよ。あなたは?」
「私?私はねぇ」
最後まで聞かずに、用を足し終えた私は外へ出た。
三番目のトイレは空っぽ。今まで誰かが居た形跡すらない。
担任の先生に話したら、それはトイレの花子さんだね、と教えてくれた。今でも私は彼女のお友達なのだろうか。
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2007.07.14 |
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『 百 物 語 』 ~弐〇〇七年・夏~
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30-31 :金魚 ◆N23CfC33RE :2007/07/13(金) 21:13:11 ID:wFYINnwoO
数年前、入院中に知り合ったEさんの話です。
Eさんは五十代後半の男性で、職場で急に倒れて病気に運ばれてきたそうです。
そのEさんには同年代のMさんという親友がいたらしいのですが、Eさんが入院中する数ヶ月前に急死されたとの事(死因までは聞いていません)。
EさんとMさんは共に独身で一人暮らし、家も近所だった為頻繁にお互いの家を行き来していたそうです。Mさんが亡くなった日もEさんはMさんの家を訪ねました。
しかし約束をしていたのに呼び鈴を鳴らしても Mさんが出て来なかったので、窓から覗くと布団から半分はみ出た状態で倒れているMさんを発見、急いで救急車を呼びましたが手遅れだったそうです。
Mさんが亡くなった後、部屋を片付けに来たMさんの兄弟から、「大した物はないけれど、もし良ければ遺品を貰ってやって欲しい」と言われ、EさんはMさんの家に行きました。
そしてEさんは、いくつかの遺品の中からMさんが亡くなった時に着ていた布団を頂いたのだそうです。
「気持ち悪くないんですか?」
と兄弟の方に尋ねられたそうですが、Eさんは何故かその布団を自分が引き取らなくてはならないような気がしたのだそうです。
布団を貰ってから、Eさんはそれまで使っていた自分の布団を捨て、Mさんの布団で寝るようになりました。
正直、私はそれを聞いて少し不気味に感じました。
Mさんの布団で寝るようになって以来、ほぼ毎日夢にMさんが出てくるようになったそうです。しかしEさんは、Mさんはきっとまだ死にたくなかったのだろう、色々と未練もあるだろう。そんな愚痴を自分に話したいんだろうと思い、あまり気にはしていませんでした。
けれど、その布団を使うようになってからEさんはよく体調を崩すようになりました。
体重も激減したようで、「癌じゃなきゃいいんだけどなあ」と言っていました。
Eさんの体は次第に衰えていき、入院する少し前にはかろうじて仕事には行っていたものの、仕事中に具合が悪くなって早退する事も多くなっていたそうです。
Eさんの体調は良くならなかったけれど、検査をしても特に異常は見つからず、結局十日程で退院する事になった。
退院前日、余計な事かと思いつつもEさんに聞いてみました。
「布団、捨てないんですか?」
「何で?」
「いや、何て言うか…その布団を使い始めてから体調崩したって思うなら、布団を供養とか処分とか、してみたらって」
「友達の形見だしなあ。布団が悪いって証拠はないしな。まさかあいつが祟ったりするわけないし」
Eさんには布団を処分するという考えは全くないようでした。
「それになあ、あの布団は俺が使わなきゃいけないんだよ。ずっとな」
どうしてEさんがそこまで布団に執着するのかはわかりませんでしたが、多分Eさんは退院後もMさんの布団を使い続けてると思います。
元気でいてくれたらいいなと思うのですが…。
2007.07.14 |
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『 百 物 語 』 ~弐〇〇七年・夏~
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36-38 :森の人 ◆7FJky9yTMw :2007/07/13(金) 21:15:28 ID:y0aQ28sV0
よく小学校の時、三年生のトイレは呪われてるとか
大鏡の前にずっと立ってちゃいけないとかいう噂があったじゃないですか。
私の小学校でもそういった噂は絶えずあって、時には「学級文庫は読んだら呪われる」など、
馬鹿らしい噂も多々ありました。
私が小学4年生の時、ある噂がとても有名になっていました。
「午後6時になると、人体模型が走り出す」・・・
私は噂にはうとい方なので、そんな噂が有名になってるほうに驚きました。
なんで人体模型が運動場を走るのか、なんで6時限定なのか、
っていうか6時程度なら目撃者ゾロゾロいるだろう、等突っ込み所がありすぎたからです。
しかし私が当時仲が良かった由香(ユイカ)と言う人はアホで、そういう噂は信じて疑わないほうでした。
そして何を血迷ったか、「じゃあ皆(3人でしたがw)で確かめてみよう!」とか言い始めました。
もう一人の友達(春奈(ハルナ))はそれほど嫌そうでもありませんでしたが、私は正直ものすごく嫌でした。
だって、9時とか10時とかならまだしも、6時と言うのが微妙過ぎたからです。
見たいテレビだってあるし、お腹だって減ります。そういった事を二人に言うと、
由香はお決まりの「アンタ怖いんやろ?w」というセリフをかましてきました。
(お前が怖がってるから行くんだろうが!)とか思いつつも、「まぁ6時くらいなら・・・」と承知してしまいました。
その日の放課後、早速3人で運動場の近くの昇降口で待機する事になりました。
と言ってもまだ4時、(これでも時間を潰したのです)あと二時間もあります。
なので一回帰ってせめてカバンを置いてこよう、と言ったのですが、
「その間に人体模型走るかも知れないやろ!!」とか由香は言い出しました。白けた。
外で待ってると夏でも結構寒く、私は「ちょっとトイレ行ってくるね。」と近くの外トイレに行くことにしました。
すると由香が、「あのトイレの一番奥呪われてるんよ。気をつけえや」とか言いました。白けた。
「はは、じゃあ奥のトイレ行ってきますw」とか言いながらトイレに入りました。
入ってみるとなるほど、小さい窓が横にひとつしか無く、蛍光灯は壊れているので中は暗く、
奥となるとほとんど「朝カーテン閉めっぱなし」ぐらいの暗さです。
それでも私は「噂考えた奴誰なんかなー」ぐらいにしか思ってませんでした。
そして私は予告通り一番奥のトイレに入りました。宣言したからではなく、奥が一番キレイだったからです。
そして私が用を足して立ち上がろうとしたら、 出口のほうから、
コンコン。
とノックの音がしました。「誰か来たのか。出辛いなぁ」と思っていると、
コンコン。
とまたノックの音がしました。 近づいています。
そこのあたりから私は「おかしい」と思い始めました。なぜなら、トイレには人の気配はしなかったからです。
コンコン。
このトイレは全部で5つ、あと2個で私の所に来てしまいます。
そこで私は「あ、これイタズラかw」と気付きました。
普通に考えると有り得ないし、あの二人ならそういう事を考えそうだったからです。
コンコン。
私は内心笑いつつ、次近づいてきたらいきなり開けて驚かせようとしました。すると隣のトイレから、
ドンドン。
とノックを誰かが返したのです。
私はもの凄く驚きました。隣に誰もいなかったしwwえ?っていうかドンドンってちょwwwおまwwww
っていうか次こっちだしwwwwwwwは?wwwwこれも計算の内?wwwwwww
みたいになりました。すると出口のほうから、
「おーい○○~、まだトイレいんの~?」と春奈の声がしました。
お、今なら出てもいいんじゃね? と私は急速にパニックから回復し、トイレのドアを勢い良く開けました。
「あ、そこに居たんだ。」と春奈がトイレの目の前にいました。
ずっと向こうの出口に春奈がいたハズなのでとても驚きました。
私が「ちょっと足速くない? さっきまで出口のほうに居たんでしょ?」と言うと、
「え?そう?私歩いたんだけど・・・ 普通でしょ。」と言われました。不思議に思うと、
そこは出口に一番近いトイレでした。
2007.07.14 |
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『 百 物 語 』 ~弐〇〇七年・夏~
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40-41 :Gペンマン ◆UoNspEbUF6 :2007/07/13(金) 21:19:20 ID:QRmWHAJT0
去年の夏に私の知人のTさんが体験した話
Tさんは田舎の父が亡くなったと半ば半狂乱の母から連絡があったので、
葬式関係の話をするため田舎にむかっていた
Tさんの父は母と二人暮しで農業を営むレトロな専業農家で母と凄く仲が良かったらしい
”仲の良い父さんと母さんの事だ、電話口でもかなり鬼気迫った口調だったしきっと残された母さんはショック大きいだろうな・・・”
などと思いながら完全に日が沈んだ頃とうとう両親の・・・、いや今は母親だけの物となった古い家についた
顔を合わせたときどういう反応をすればいいか悩みながらインターフォンを押す
ピンポーン
当時の心境とは対照的な明るい電子音が流れて数秒待つも反応がない
Tさんは母は買い物にでも行っているのだろうと思い、持ってきた合鍵で家のカギを開け中で待つことにした
静まり返った家の中に入り父の部屋を覗くと、電話での母の言い分通りもう動かなくなっている父の姿があった
「あんなに死にそうにも無い元気な父さんがあっけないもんだな・・・」
などと呟きながら一縷の望みを持って脈を測ってみるもやはり脈はなく、呼吸もしていない
「・・・やっぱりだめか」
重い気分になりつつも母の帰りを待つために居間に移動してすぐ母が帰ってきた
「あれ、靴がある。 Tもうかえって来てるの?」
「うん、電話があってからすぐに出発したし」
玄関で声を上げている母を返事をしながら迎えに行く
やはり買い物帰りのようでスーパーの袋を両手に抱えた母は顔に疲れは見えるが、電話口での声ほど切羽詰まってないようなので安心し
「ありゃ、Tも立派になったわねぇ」
「ははっ、一時期どうなるかと思ったけどなんとかなってるよ」
等と世間話をしつつ、母の後に続く形で台所へと到着する
「んじゃ、これから料理作るけどTも食べていくでしょ?」
「うん食べるよ、んでもその前に・・・さ」
いつまでも世間話をしてるわけにはいかないと本題をぶつける
「父さんはだいたい何時ごろ亡くなったの?」
「・・・そのことなんだけどね?」
「うん?」
てっきりこの話題をぶつけた途端にまた半狂乱な状態にもどってしまうかと思いきや、心底恥ずかしそうな顔で
「・・・ごめんねお父さんが倒れたから取り乱しちゃって」
「・・・お父さん生きてるのよ、ほらもう9時近いでしょ?もうきっと居間で夕飯を待っているはずよ」
と普通に、なんの不自然さも感じられないような声で母は言い放ったのを聞き体が硬直し混乱や疑問なんかよりまず言い様の無い強烈な寒気がTを襲った
そう、父親が死んでいるのはつい数分前確かめた自分が良く知っている
なのに母に言わせると父は”生きていて”尚且つ”居間で夕飯を待っているだろう”という
入ってきた情報に頭がついていかないまま、どれくらい突っ立っていたのか分からないが
とにかく母親が夕飯を作り終えすべての料理をお盆に乗せた後
「いつまで突っ立ってるのよ?ほら居間に行って一緒にご飯食べよう?」
と声をかけられ母と一緒に居間へと向かい
・・・居間の扉をあけると
居間の扉から見てちょうど目が合う位置にもう動く事はないはずの父が”あった”
「うわぁぁぁぁぁ!!」
思わず叫び声をあげ、Tはその場から逃げ出したという
後日親戚一同も駆り出して母を納得させちゃんと葬式は行ったのだが
Tさんの父親の葬儀では最初から最後まで不思議なことが立て続けに起こったという
この話をしてくれたTさんは「今を思うと父さんにはよっぽど未練な事があったのかなぁ」と振り返っていましたが
もうしかしたら、死んだ後なにか悪いものに取り付かれてたのかもしれませんね・・・
2007.07.14 |
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『 百 物 語 』 ~弐〇〇七年・夏~
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43-46 :蟻 ◆GJCUnhVBSE :2007/07/13(金) 21:21:14 ID:0rY4v2J80
大学生だったころ、私は学習塾で講師のアルバイトをしていました。
その塾は、交差点角に建っているビルの二階フロアに入っていました。一階にはコンビニ、道路を挟んだ向かいにはガソリンスタンドと、昼間はそこそこ賑わっている場所です。しかし、なにぶん田舎のベッドタウンなものですから、毎日授業が終わって生徒を帰宅させる二十二時ごろにはめっきり往来が減り、辺りを通るのは帰宅の途につく近隣住民ばかりです。
季節は初夏だったと思います。
クーラーを入れるほどではないにしろ、蒸し暑い夜でした。全ての授業を終えて生徒を全員帰してしまった後でしたが、空気の入れ替えをするため入り口のドアは開け放したままでした。最後に帰った生徒は私が居残りを命じた生徒でしたので、よく記憶しています。一つしかない入り口の外から、虫の音が聞こえてくるほど静かな夜でした。
その日出勤していたのは、塾長、男性講師一人、女性講師一人、そして私の四人。最後の生徒を帰し、ミーティングが始まったのは二十二時半ごろだったと思います。フロアの一番奥に背の低いつい立で仕切られた一角があり、そこに講師用のデスク、教材をおさめた本棚が置かれています。授業前後のミーティングはそこで行われるのが通例でした。塾長を中心に全員が座り、男性講師が数学クラスの授業について報告している最中のことでした。
「……ちょっと待って」
メモを取る手を止め、塾長が顔を上げてこう言いました。
「誰か来た?」
――きゅっ、きゅっ
一瞬静かになったその時、確かに、フロア入り口の辺りからスニーカーのような足音が聞こえてきました。
「忘れ物かな」塾長は立ち上がり、つい立の上に首を出して入り口のほうを伺いました。しかし、
「あれ?」
と怪訝な声を出し、そのまま入り口の方へ歩いていってしまいました。私達は座ったままだったので、つい立に遮られて入り口の様子は見えず、塾長が戻ってくるのを話しながら待っていました。すると
「ねえ、足音したよねえ?」
と、フロア入り口の方から塾長の声。
「しましたよー」と私。他ふたりの同僚も
「うん、したよね」「スニーカーだったよね」と同調しました。
しかし、
「……誰もいないんだけど」
と、塾長。
ぎょっとして立ち上がり、私達は全員入り口の方へ向かいました。本当に誰もいません。もちろん、フロアにいるのも私達四人だけ。ミーティングを行うスペース以外に仕切られた空間はありませんので、誰もいないのはひと目でわかります。塾長は入り口から外に出て、階段を降りてみたりエレベーターを覗いてみたりしましたが、やはり誰もいないようでした。
時間も遅かったせいか、何となく嫌な空気が流れました。が、「オバケだったんじゃないですかー?」「きっと聞き間違いですよ」なんて茶化して、早いことミーティングを再開しようという流れになりました。みんな表面では「勘違いでしょう」という顔をしていましたが、なんとも気味の悪いものを感じていたと思います。
だって、確かに全員、あのスニーカーのような足音が、確かに入り口へ入ってくるのを聞いたのですから。
再開されたミーティングはやはり淡白なものになり、みんなの(早く帰りたい)気持ちがにじみ出ていたように思います。
それぞれの講師の報告が終わり、最後に塾長が明日の連絡事項を伝え始めました。各校の期末試験が近い時期でしたので、それに関する連絡だったと思います。
その最中でした。
――きゅっ、きゅっ。
はっきり聞こえました。紛れもない、スニーカーの足音です。みんなが無言で顔を見合わせました。洒落にならないのは、その足音がさっきのように入り口の方で聞こえたのではなくて、私達を囲むつい立の……すぐ裏側から聞こえてきたことでした。
(そこにいる!)
瞬間、つい立を背にして座っていた男性講師のF先生が立ち上がり、つい立をひっつかんで裏側を覗きました。私と女性講師のK先生は顔を見合わせたまま硬直していました。
「……何で誰もいねぇんだよ!」
とても穏やかで、何かと問題を起こす生徒に対しても声を荒げることのないほど温厚なF先生がそんな風に叫ぶのを、その時初めて聞きました。
どんな風にミーティングを終えたのかはよく覚えていません。
ただ、スニーカーの足音は、それっきり、聞こえることはありませんでした。
誰も何も言いませんでしたが、塾長の仕事が終わるのを待って、全員で揃って帰ろうという空気になっていました。
塾長と、女性講師のK先生にも仕事が残っていたので、彼ら二人は教室の真ん中の生徒席で並んで仕事をしていました。とてもではありませんが、つい立に仕切られたあの空間では仕事をする気にはなれないようでした。
仕事の終わった私と男性講師のF先生は、ベランダに出て話をしながら待っていました。まばらではありますが、車や人の通るのを見下ろしていると、少しずつ気持ちが落ち着いてくるようでした。
「蟻先生(私)、霊感とかってありますか?」
ないこともないのですが、あまりそういう話に乗ってしまうと引かれるかなあ、と思い、「不思議な体験はあることにはあるけど、勘違いだったかもしれないしねぇ」と、返事を濁しました。
するとF先生は、
「俺、ああいうの初めてだったんですよ。幽霊なんて信じてなかったし、霊感とか全然ないって思ってたのに、あんなにはっきり聞こえるもんなんですね」
そう、確かに、スニーカーを履いている足だとわかるほどはっきりとした足音でした。私は「そうだねえ」と相槌をうちましたが、もう思いだしたくありませんでした。
「俺、最初は子供だと思ってました。スニーカーみたいだったし、塾だし、俺たちが入る前にここの生徒が亡くなったりとかしたんじゃないかなってちょっと思ったんですよ。けど違ったんですねぇ」
えっ? と思う私を尻目に、F先生はこう続けました。
「ちょっと年のいってるおじさんって感じでしたよね? あの『すみません』って声」
返事ができませんでした。そんな声、私は聞いていませんでしたから。
F先生だけに聞こえていたのか、それとも私だけが聞き落としていたのかはわかりません。その夜のことは、後になっても、一度も蒸し返されることはありません
でしたから。
その塾を辞めて数年が経ちました。私と前後して、F先生も、K先生も相次いで辞めていったようです。塾長はもちろん残っていると思いますが、遠い地に引越しをした今、あの塾がどうなっているのか、私にはわかりません。
2007.07.14 |
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『 百 物 語 』 ~弐〇〇七年・夏~
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48-49 :徳島ヴォルティス@@サポ ◆K6QUBu7wQQ :2007/07/13(金) 21:26:07 ID:8mQHytvn0
あれは、私がまだ小学校低学年の頃だったかと思います。
当時築50年ほどの古い家に住んでいたのですが、その家に『着替え部屋』がありました。
その家は風呂・トイレが内部に無く、これまた古いコンクリート造りの別棟となっておりまして、そちらの建物に脱衣所として使えるスペースが無かったため、風呂に入るものは皆、その『着替え部屋』で着替えをしていた訳です。
その日、私は居間でテレビを見ておりました。コタツなどに入っていた記憶は無いため、少なくとも冬ではなかったと思います。
――――――ぎしり、ぎしり、ぎしり。
……唐突に、『着替え部屋』から、音が聞こえてきました。ゆっくりとしたペースで、定期的な音。
初めは動物を疑いました。家が古く、隙間も多かったのでしょう、その家にはイタチやら猫やら、時には蛇なども入り込む事がありましたので。
しかしながら、家に入ってきたイタチや猫はそんなにゆっくりとした音など立てた事がありませんし、蛇が這った時に音など立つものでしょうか。何より、その音の重さは……そう、人がゆっくりと古い畳の間を歩いた時に聞こえてくるような、板の軋む音なのです。
そっと『着替え部屋』を覗き込んでみます。
……同時に音がぴたりと止みました。『着替え部屋』の中にはタンスや、諸々の衣類があるばかり。動物も、人も居はしません。
何だったんだろうと思いながら覗くのをやめ、再びテレビを見始めると、また、
――――――ぎしり、ぎしり、ぎしり。
音が聞こえ始めます。
結局、私は数ヶ月間その音……そのうち、足音と確信しましたが……と付き合いました。
聞こえてくるのはいつも夜、唐突に来ます。そして、覗き込むと止まる。
覗き込んだら何か居た、という事は全く無く、足音以外の音が聞こえてきたこともありません。
また、足音は近づいてくるでも、離れていくでもなく、同じ大きさの音が延々と聞こえてきます。
両親や祖母、妹には聞こえないのか、それともどうでも良いのか取り合ってもらえず、一人不思議な思いをしておりましたが(怖い思い、ではなく。当時私は結構な怖がりだったのですが、何故かその足音には恐怖感を感じておらず、『着替え部屋』も特に抵抗無く使い続けました)数ヶ月の後、いつの間にか、気付いたらその音は聞こえなくなっておりました。
家は私が中学生の時に取り壊し、今は新しい家が建っておりますので、あの音の正体が何だったのか、真相は闇の中ですが……『着替え部屋』は、私が乳幼児の頃に亡くなった曾祖母が、生前自分の部屋として使っていたのだそうで。案外、出来の悪いひ孫の様子を見に来ていたのかもしれませんね。
2007.07.14 |
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51-53 : ◆78EEj9uFcQ :2007/07/13(金) 21:27:45 ID:BBLJ85aO0
百物語でするようなはなしじゃないような気もしますが、お許しをいただいておりますので 私の体験談をひとつ・・・
霊的なものではあまりない話ですが。
今は別の県に住んでいるが、昔都内某所に住んでいたころの話。
当時、海外なんかとも仕事してた関係でどうしても深夜になってしまうことが多く、終電にも乗り遅れてしまうことがあったので仕方なく職場まで歩いて通えるところにマンションを借りていた。
その日は奇しくも?今日と同じ金曜日だった。
仕事がわりと早く(まあそれでも10時前だったのだけれど・・・)終わり、やれやれという感じでマンションまで歩いていた。
住宅街で、その時間になると外を歩く人もいないし、車も通らなくなるので結構さびしい感じのところだったが、下り坂の手前にあるコンビニにだけは人がいつもいて少しほっとしてた。
そんなコンビニを過ぎてとぼとぼと坂を下って行った途中、街灯の下に人がぽつりと立っていた。大学生や若い会社員なんかが待ち合わせでもしてるんだろうな、と思って気にせずに通り過ぎようとした。
通り過ぎるとき、目の端にその人の格好が目に入ってきた。一瞬声を出しそうになるほどぎくりとした・・・黒ずくめなのだ。
着ているのは黒いジャージの上下だった。しかし普通黒のジャージといっても白や黄色なんかの線が一本くらい入っているものだが、それをインクだか墨だかで全部塗りつぶして真っ黒にしたものを着ていた。
そしてなによりぎくりとしたのは頭からこれまた真っ黒に塗りつぶしたコンビニの袋をすっぽりとかぶっていたのだ。コンビニ袋には左目と口の部分だけ切れ込みが入っていた。その開いた左目でこちらをじっと見るでもなく、開いた口で何を言うでもなくただぼうっ、と立っている感じだった。
上から下まで黒ずくめのおかしな人が立っている・・・なんだか気味が悪くなって早足で逃げるようにマンションに急いだ。
・・・次の街灯の下にも同じ奴が立っていた。
なんだかほんとに気味悪くなって「何も見てない見てない」とつぶやきながらふたり目の人物の横を通り過ぎマンションに駆け込んだ。
・・・部屋に入ってから電気を全部つけてテレビを大音響でかけ、ひとりで怖がっていたのだが、午前2時ごろようやく気持ちが落ち着いてきた。ひどく空腹だったことにも気づいた。
「そうか、コンビニ寄るの忘れちゃったなあ」
・・・時間も時間だし、もういないだろうと思い恐る恐るながら坂の上のコンビニに向かった。途中、街灯の下には誰もおらず、何事もなくコンビニまでたどりつき、買い物を済ませて何事もなくマンションにもどってきた。
マンションに入ったとたんいやな感じがした。
出て行くときには開いてもいなかった郵便受けのドアがひとつ開いているのだ。明らかに自分の郵便受けのドアが。誰か来て郵便受けを覗いたのだ。
ダイヤル式で施錠できるのだが、構造は簡単な上に少しねじがゆるく、力任せに引けば鍵がかかったままでもあいてしまうような代物なので、簡単にこじ開けられたのだろう。
気味悪いなあ、と思いながらも郵便受けのドアを閉めようと手を伸ばしたとき、郵便受けの中に真っ黒いものが突っ込まれているのが目に入った。
・・・あの切れ込みがはいった黒いコンビニ袋がひとつ無造作に突っ込まれていた。
・・・という話なのですが、とにかくこんな話なのでいたずらといえばいたずらなのかもしれないんです。
その後おなじ人物を見ることもなかったし、なにかへんな出来事が起こるということもありませんでした。
ですからほんとに「不思議」のまま終わっているできごとなのです。特にあの人物がひとりだったのか、それともふたりだったのか、これがいまだにわかりません。ふたりいたのならまあそれなりに理屈も通るのですが・・・もし同じひとだとしたら一本道のだらだら坂でどうやって気づかれずに私を追い抜いていったのか、まったくなぞなのです。
2007.07.14 |
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56 :有線 ◆zRMZeyPuLs :2007/07/13(金) 21:34:11 ID:fuMdaNdkO
今日は休日。
浅野由美さんは、彼氏のアパートでまったりと過ごしていた。
何をするでもなく、、昼食を食べ、二人で昼寝をする。
暫らく経って、不意に浅野さんは目を覚ました。
一瞬、自分のいる場所が何処だか判らなくなる。
寝呆け眼を向けた先に、気持ち良さそうに寝ている彼氏。
軽い安堵を覚えると共に、また眠気が襲ってきた。
そのまま眠ろうとした浅野さんの視界に、何かがちらちらと入り込んできた。
ぼんやりと視線を向けると、彼氏の肩越しに肌色のものが見える。
少し注視する。
見えているのは、隣の部屋とを繋ぐ引き戸。
だが、何か違和感があった。
この部屋には、引き戸に少し被さるように本棚が設置してある。
その本棚の脇、腰位の高さだろうか。
そこに、おかっぱ頭の少女が、顔を半分程覗かせていた。
本棚と引き戸との隙間は数センチしかない。
勿論、人が入れるわけもなかった。
顔だけの少女は、無表情に、浅野さん達を虚ろな目で見つめていた。
正確には、浅野さんの彼氏を。
じっとりとした目付きで、瞬きもなく彼氏を凝視し続けている。
しかし、その目はまだ、浅野さんを捉えてはいなかった。
恐ろしくなった浅野さんは、寝てしまおうと固く目を閉じた。
幸いにも、眠気が覚めてしまう前に意識を手放す事ができた。
気付けば夕方になっていた。すでに彼氏は起きていたが、特に何かがあったようには見えなかった。
それから半年程経つ。未だ彼氏に変わった事はないという。
2007.07.14 |
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『 百 物 語 』 ~弐〇〇七年・夏~
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253 :マジパコりてぇ ◆VkjrnMZynA :2007/07/14(土) 02:13:58 ID:8iRqUuyy0
私には4つ離れた弟がいます。弟がまだ小学4年生だった頃一緒に体験した実体験です。弟は私と違い霊感があるらしく、小さい頃からよく不思議な事を言っていたんです。
夏休み家には親戚の子達が泊まりに来ていました。
夜、親も寝静まった頃私も入れて子供達5人だけで恐い話しをしていたんですが、夜もだいぶふけていたのでみんな眠気に負けて一人二人と布団に入っていきました。
結局残ったのは私と弟だけ「みんな寝ちゃったしつまんないから寝よー」と私が言い、私達も布団に入りました。すると今まで普通に会話をしていた弟が、胸までかけていた布団を急に頭までバッっとかけたんです。
私は弟のただ事ではない雰囲気にビックリして、私もつられて布団に頭までもぐり布団の隙間から恐る恐る「どうしたの?」っと弟に聞きました。
弟も布団の隙間から私に「部屋に誰か入ってきた」と泣きそうな声で言いました。その時点で私の心臓はバクバクし「誰もいないよ!お父さんもお母さんもみんな寝てるよ!」っと恐さからちょっとキレぎみに言いました。
すると弟が「違うよ…知らない女の人!」弟は半べそ状態、私も恐くて恐くてたまりません。
辺りは静まり返りキーンと耳音がしてきます。
私:「まだいるの?」
弟:「僕達の足!足の下にいる…」
とにかく私は早くどこかへ行ってくれと必死に願いました。
それから何分経ったか分かりません。
弟:「いなくなった…」
私も弟も息苦しくてたまりません。恐る恐る頭を出し思い切り深呼吸しました。でも恐怖は消えず、私と弟だけ両親の部屋で寝ることにしました。
翌日弟にその"女の人"の話を詳しく聞くと白いワンピースに腰まである長いボサボサの髪、大きく見開いた目(白眼が真っ赤だったそうです)そしてアゴが首に着きそうなくらいに頭を下げていたそうです…
2007.07.14 |
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『 百 物 語 』 ~弐〇〇七年・夏~
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62 :本当にあった怖い名無し:2007/07/13(金) 21:46:26 ID:gL16ItOl0
高校時代、夢の中で2歳の時に他界したはずの曾祖母(ひいおばあさんの事です)が入院して見舞っている夢を見ました。
私は曾祖母の顔は覚えていませんが、何故か塩せんべいを貰った記憶だけあります。
夢の中の曾祖母、逆光で顔だけは何故か見えずに居ました。
息もきれぎれな曾祖母を悲しんで私の母が
「辛いだろうに、出来る事なら代わってあげたい。」
そういった途端、私の中で優しいとしか印象にない曾祖母がムクリと起き上がって
「じゃあ代わってみる?」
とても恐ろしくて飛び跳ねるように起きました。
春先でまだ薄ら寒かったのに身体は汗でびっしょり。
朝、母がパジャマが変わっていた事を問いましたが、あまりに縁起が悪い話なので言えずにいました。
2ヵ月後、母は入院しました。
すぐさま夢の事を思い出しましたが突然の事にそんな事を言っている暇もなく。
またその夢の事は忘れて母のいない間、家事に学校にと忙しさに追われていました。
「百々(どうどう)、何か変な夢とか見た?」
母が退院何日か後に言った言葉。
一瞬固まって慌てて否定しましたが多分母も何かを見たんだと思いました。
でも何を見たのか未だに怖くて聞けていません。
2007.07.14 |
| Comments(0) | Trackback(0) | □連作「百物語 ~弐OO七年・夏~」
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